新年を迎えられましたことを謹んでお慶び申し上げます。
昨年を顧みますと、ロシア・ウクライナ情勢に端を発した資源価格の高騰に加え、歴史的な円安により原材料費、物流コスト等の大幅な上昇により、本県水産加工業界にとっても大変厳しい一年となりました。
また、新型コロナウイルス感染症は自粛からウィズコロナへのステージへと変化し、生活様式やビジネススタイルに順応させながら感染を抑制する経済活動が必然となってきております。
今年は、東日本大震災の発生から12年目を迎えますが、未だ失われた販路の回復は大きな課題となっております。放射能事故に対する不安は薄らいできておりますが、この事故の与えた心理的影響は大きく、風評被害は未だ収束しておりません。こうした中、ALPS処理水の海洋放出が今春に迫り、水産業界をはじめ、関連産業を含む地域経済への重大な影響が懸念されるところです。
国においては、安全性の周知を十二分に図り、国民・国際社会への理解醸成に努力いただき、併せて風評対策支援を講じるよう引き続き求めてまいります。
私どもは、製品の安全性と信頼性を確保するため、原料から製品まで各段階において様々な検査を行い、関係機関等の支援を得ながら、業界としてもあらゆる風評対策に努めてまいります。
加えて、本格的な人口減少に伴い、労働力不足や消費の縮小、国内水産物の漁獲量減少、世界的な水産物消費による原料や資材類の高騰、円安そして特に深刻な電気料金の値上げ等の対応すべき多くの課題がございますが、厳しい時こそ会員が一致団結し、前向きに取り組んでまいりたいと存じます。
さて、今年の干支は「癸卯」です。「癸」は順序で言えば最後にあたり、一つの物事が収まり次の物事への移行をしていく段階。また「卯」のうさぎは「茂」という時期であり、繁殖する、増えるという段階にあたります。その両方を備えた「癸卯」は、去年までで様々なことの区切りがつき、次へと向かっていく、これまでの努力が花開き、実り始めることを表していると言えます。
萬話の「うさぎとかめ」のうさぎのように、おごり、高ぶり、努力をしないことで、思わぬしっぺ返しに合うことの無きよう、あらん限りの知恵をしぼり、決しておごらず、脱兎の如くスピーディーに、ぴょんぴょん跳ねるうさぎにあやかり、私ども水産加工業界も力強く跳ね、飛躍の年にしていきたいと思います。
最後になりますが、本会の安定的な運営、また、水産加工業界の発展にさらなる努力をして参る所存ですので、引き続き一層のご理解ご協力をお願い申し上げますとともに、会員の皆様のご活躍とご繁栄を心から祈念いたしまして年頭のごあいさつといたします。
茨城県水産物開発普及協会
会長理事 髙木 安四郎