年を迎えられましたことを謹んでお慶び申し上げます。

 昨年を顧みますと、夏にかけて世界中で新型コロナウイルス感染症が急激な拡大を引き起こし、日本国内では4回目の緊急事態宣言が発令され、行動制限措置が取られました。しかし、8月下旬以降一気に収束に向かい、行動制限が解除された矢先、新たな変異株の感染が確認され、水際対策により外国人技能実習生の受入が再び停止となる等、ウイルスの存在を前提とした経済活動が必然となっております。
 そのような中、一年延期された東京オリンピック・パラリンピックが無観客開催となったものの、コロナ禍の暗い生活の中、選手の活躍により、勇気と感動をもらいました。
 国内経済においては、本格的な景気回復が期待される中、資源・エネルギーの高騰や生活物資の値上げが始まり、政府の大規模な経済対策に期待するところです。

本県水産加工業界では、東日本大震災の発生から10年が経過しましたが、未だ失われた販路の回復は大きな課題となっております。放射能事故に対する不安は薄らいできておりますが、この事故の与えた心理的影響は大きく、風評被害は未だ収束しておりません。また、ALPS処理水の海洋放出が示され、大きな懸念を抱いております。製品の安全性と信頼性の確保をはかるため、原料から製品まで各段階において様々な検査を行い、関係機関等の支援を得ながら、あらゆる風評対策を講じるよう努めてまいります。
加えて、本格的な人口減少に伴い、労働力不足や消費の縮小、国内水産物の漁獲量減少、世界的な水産物消費による原料や資材類の高騰、更に、HACCPの義務化、原料原産地表示の経過措置期間が3月末までに迫り、新たな表示への対応が必要となるなど、これらの課題への対応が急務となっておりますが、会員が一致団結し取組んで参りたいと思っております。

 さて、今年の干支は「寅年」、寅は地中の生物が陽気とともに地上に出るさまを表すと言われています。また、中国の漢書では、丑は「芽を出す」寅は「草木を伸ばす」意味が込められているそうです。
私ども水産加工業界も時代のニーズを的確に寅【とら】へ、新たな成長の芽を伸ばしていきたいと思います。
 最後になりますが、本会の安定的な運営、また、水産加工業界の発展にさらなる努力をして参る所存ですので、引き続き一層のご理解ご協力をお願い申し上げますとともに、会員の皆様のご活躍とご繁栄を心から祈念いたしまして年頭のごあいさつといたします。

 

茨城県水産物開発普及協会

 会長理事 髙木 安四郎