みりん干、さくら干の生産量は少なくなったものの、2,500トン前後の安定した生産量をあげております。
砂糖、食塩等の調味液で味付けし乾燥して製品としますが、現在の嗜好に合わせたソフト製品と従来の上乾(乾燥のよいもの)製品とあります。
昔はみりん干を火鉢で軽くあぶるように焼き、硬くならないうちに食べました。焼いたみりん干は、砂糖を使用するためしばらくすると硬くなります。そこで焼いた後もあまり硬くならないようにソフトな製品が出来ました。
みりん干には色々ありますが、一般的にはいわし、さば、さんま等のみりん干が好まれます。この他ふぐ、カワハギ、あじ等のみりん干があり、惣菜品又は嗜好品として販売されております。
加工方法
原料は魚の大きさによって処理方法が異なり、さばは三枚卸、さんまやまいわしなどは頭と内臓、中骨の一部を取り除いた開きの形にし、片口いわし(背黒いわし)や小あじ等小魚は開きを並べて製品にします。
生処理が終わると、片口いわしの場合には製品の大きさ(例えば3×4尾)に並べて、砂糖、食塩等の調味液に1~2昼夜漬け込み、液をよくきった後、乾燥機で乾燥します。乾燥はソフト仕上げの製品は1夜前後、上乾製品は1~3昼夜乾燥します。上乾製品は乾燥効率をよくするため、途中で何度か裏返しを行います。このため乾燥は裏返しがしやすい“簾の子”に並べて乾燥します。
なお、白胡麻は簾の子に並べた時にふりかけておきます。
美味しい食べ方
一般的な食べ方は、弱火で軽く焼くかアルミ箔の上に乗せオーブンやトースターで焼いて食べます。
変わった食べ方としては唐揚げするなどがあります。
砂糖を使用しているため、焼くと焦げ易いので注意が必要です。
トピックス
一般に「いわしみりん干」として販売されている商品のうち上乾ものを、波崎地区では「さくらぼし」として販売しています。波崎の(株)鴨安商店によると、昔は「いわしみりん干」と称し、今のような自動車輸送ではなく鉄道小荷物として輸送していましたが、「みりん干」は当時珍味として嗜好品に入り運賃が高かったのに対し、丸干し等は惣菜品として運賃が安かったので、運賃を安くするように陳情し、みりん干に代わる名前として考えたようです。また、当時、原料は片口いわし(背黒いわし)でなくまいわしであったそうで、この周辺で獲れるまいわしは、3月から4月の桜の季節のものが、油も少なく原料として最高で、製品つくりの最盛期でありました。(当時、今のような冷凍技術もないため、原料の獲れるこの時期に製品を集中して製造しました。)